劇団大阪は関西に根ざしたリアリズム劇団として中心的役割を果たさんとして1971年に創立されました。
創作劇を生み出し、日本の作家はもちろん海外の戯曲も数多くバラエティーに富んだ作品を上演してきました。この50年の歩みを実りあるものとして劇団大阪50周年記念戯曲募集を実施し、関西はもちろん関東地方、中国地方と全国から幅広い年代の方がこれに応募してくださいました。
劇作家協会会長の渡辺えり様をはじめ、市川明様 菊川徳之助様 篠原久美子様を審査員としてお迎えし最終選考審査会を行い、受賞作品を決定しましたのでここにお知らせいたします。
また、劇団大阪の活動が演劇の魅力をますます深められるようにこれからも応援よろしくお願いいたします。
大賞 1名
■「医者の玉子」
岡田 鉄兵
佳作 2名
■「空蝉が鳴いている」
山脇 立嗣
■「叫ばれなかった人」
くるみざわしん
最終審査作品(到着順)(敬称略)
1『お忘れ物承り所お忘れ物係・草野路男』
広島友好
2『叫ばれなかった人』
くるみざわしん
3『医者の玉子』
岡田鉄兵
4『十四歳』
吉村健二
5『まん前のプリちゃん』
高木由起
6『空蝉が鳴いている』
山脇立嗣
7『あんバランス』
はるやまなかお
(五十音順 敬称略)
審査委員長 渡辺えり
【プロフィール】
劇作家、演出家、女優
1955年山形市生まれ 現日本劇作家協会会長。
1978年劇団3〇〇を旗揚げし、現在演劇企画会社オフィス300を主宰。
「ゲゲゲのげ」で岸田國士戯曲賞、「瞼の女 まだ見ぬ海からの手紙」で紀伊国屋演劇賞、女優としては「shall we ダンス?」で日本アカデミー助演女優賞、報知映画賞助演女優賞など。
毎年独特な世界観の新作戯曲を発表。昨年は「私の恋人」で全国公演した。
昨年早川文庫より「天使猫・月に濡れた手」毎日出版より「渡辺えりの人生相談」が出版された。
2020年、長年の夢だった女性劇作家による女性の人生を描いた舞台作品を結集する「女々しき力プロジェクト」を立ち上げた。
審査員 市川明
【プロフィール】
大阪大学名誉教授。ドイツ文学・演劇研究者。ブレヒト、ハイナー・ミュラーを中心にドイツ現代演劇を研究。「ブレヒトと音楽」シリーズで、『ブレヒト 詩とソング』、『ブレヒト 音楽と舞台』、『ブレヒト テクストと音楽――上演台本集』を刊行(いずれも花伝社。第3巻には劇団大阪上演の『セチュアンの善人』『マハゴニー』などを収録)。関西の演劇に新風を吹き込もうと、多くのドイツ演劇を翻訳し、ドラマトゥルクとして活動している。近訳に『デュレンマット戯曲集 第2巻、第3巻』(共訳 鳥影社)など。ドイツ語圏演劇の個人訳、市川明コレクション全20巻(松本工房)は現在第5巻まで刊行。『太郎の旅』シリーズや『レアとラウラと楽しむドイツ語』などNHKラジオドイツ語講座の講師を長らく務めた。
―お知らせー
創立50周年記念戯曲募集審査員の市川明先生が2024年1月8日急逝されました。
市川先生には審査員はもとより、劇団大阪の本公演、プロデュース公演でブレヒト作品の翻訳をいくつもしていただき大変お世話になりました。
感謝とともに、ご冥福をお祈りいたします。
審査員 菊川徳之助
【プロフィール】
「新派喜劇」と名乗る大衆演劇の座長であった祖父の影響で子供の頃から演劇に親しむ。大学の演劇部に所属して、その後劇団の養成所(関西芸術座)で訓練を受け、仲間たちと劇団を創立するが、五年で解散。実践から遠ざかり、ミニコミ誌「演劇通信」、「京都新聞」、雑誌「新劇」、「プレイガイドジャーナル」などで劇評家として動く。一九八〇年「京都演劇教室」の企画メンバーとなり、演技実習指導にあたる。一九八六年講座生と「創造集団アノニム」を創設、演出、俳優、現在に至る。一九八九年(平成元年)から近畿大学の演劇芸能専攻設立時に教員、20年勤務後2009年3月教授を定年退職。一九九八年 著書『実践的演劇の世界』昭和堂。西日本劇作の会会長。
審査員 篠原久美子
【プロフィール】
劇団劇作家代表。
公務員、舞台照明家を経て劇作家に。
2002年『冬の終わりのゴキブリの…』でギャラクシー賞ラジオ部門奨励賞。2005年『ヒトノカケラ』で鶴屋南北戯曲賞ノミネート。2013年『空の村号』で斎田喬戯曲賞、他。
演劇教育に携わり、2010年、実践記録『子どもたちと一緒に脚本を作る』で演劇教育賞特別賞。
各地で「劇作ワークショップ」を行っている。
紛争地域で読書や演劇の支援を行うピースセルプロジェクトのメンバー。
お問い合わせ:劇団大阪創立50周年記念戯曲募集 担当/熊本・山内・なかた